7. テンションあげて明るく!!の苦悩
【 西村綾子 STORY 7. 】
あの当時はまだ、私の地元名古屋でも、
地元のタレントを使う番組がたくさんありまして、
事務所の力が大きかったこともあり、ど新人の私でも
どんどんオーディションに出されました。
(選択権・拒否権はありません)
当然その多くは落ちるのですけれど、中には、
私が向いているとは全く思えないようなテレビ番組の
オーディションで合格してしまうことがありました。
受かりはしたものの、
「もっとテンション上げて明るく! 」と、私の最も
苦手なことが求められ、どうすればいいのかわからず、
番組側は、使えると思って私を合格させたのに、
いざ使ってみたらちっとも役に立たない。
仕事はどんどん他のメンバーに回り、次第にロケにも
呼ばれなくなり、毎週スタジオにただ座っているだけ、
ということもありました。
「できないのに受かる」って、自慢話に聞こえるかも
しれませんが、決してそうではないのです。
合格なのに使えない。合格なのに不合格。
見掛け倒しも甚だしい…。
例えるなら、君しかいないと言われて結婚したら
がっかりだよと放って置かれる感じ。
実はこれと同じようなことが3つの番組で起きていて、
もう、訳がわからなくて、あの頃はものすごく苦しかったです。
ローカル局でも仕事が山ほどある時代だったから
起きたことでもあると思いますけれど。
今から考えれば、贅沢なことですね。
(こんな私よりも、もっと向いている方と入れ替わった
ほうが、番組にとっても、視聴者にとっても、
活躍したいタレントさんにとってもプラスなのに)
そう思いながらも自分なりに精一杯やってみるものの、
それらがいちいち空回り続けていたある日のこと。
これまでとは全く毛色の違う番組のオーディションの話がやってきました。
なぜモデル用の宣材が存在するのかと言いますと…。
事務所がモデルの仕事にも力を入れ始め、
本命メンバーでは人数が足りず、身長あるから西村も
レッスン&宣材を、となりました。
私、今でもまっすぐ歩くことすら出来ないのに…。
何者でもない私にこんな表情をさせてくださり、
ヘアメイクさん、カメラマンさんってすごい仕事だなと
感動したことを覚えています。
そして、照明と白黒の威力たるや…。
はたしてこれらの宣材は、
ほぼ仕事につながることのないまま
私の記念品になっております😭
【 8 】へ続きます