8.「ズームイン!! 朝! 」気象予報士資格がまだ無い時代



【 西村綾子 STORY8. 】



「テンションあげて! 」「明るく」「楽しく」


当時私が、現場で言われると最も辛かった言葉です…。
年齢が若かったこともありますけれど、
局アナウンサーでもなく、人生経験積んだ大人でも
ない地方のタレントがオーディションを受ける仕事では、
落ち着いて、しっかり、きちんと、というものよりも、
冒頭のようなことを求められるのは当たり前なのですよね。

けれど、これまでお伝えしてきたように、
決して社交的でも根が明るいわけでもない私は、
明るく、はしゃいで、と言われると、
いくら役割とはいえ、どうしていいかわからなくなくなるのです。

テレビのレギュラーの仕事があること自体は、
間違いなくとってもありがたいことです。

けれど、内面と正反対のことを求められ続けると、
自分がいかに「陰」であるかをグサグサ認識させられて、苦しい…。




そんな中、ある番組のオーディションの話がきました。
ズームイン!!朝!のお天気キャスターです。


日本テレビからアナウンサーが伝える全国のお天気
に続いて、各地方のネット局に切り替わり、
現地の天気を伝える枠がありました。

中京テレビ放送の範囲は愛知県・岐阜県・三重県です。


気象予報士資格ができる前(!)でしたので、
気象台から中継先に届くデータをもとに、
自分で原稿を作って、フリートークとともに
天気予報を伝えるのが役割でした。



合格をいただいたものの天気のことは全く
わからないので、大きな書店を回って
天気に関する本を買い、専門用語や言葉の定義、
季節の表現など、自分で調べられることを勉強しました。
パソコンもない時代の話です。


そして、中継をご一緒した中京テレビ放送の佐藤啓アナウンサーからは、
「マイナス、ではなく氷点下」「はだざむい、ではなく、はださむい」など、
表現について教えていただいたり、

啓さんのお仕事ぶりをすぐ傍で見せていただくことで、
現場での振る舞いや、自分の言葉で伝えることについて、がっつり学ばせていただきました。



暑い日が何日続いていても、昨日と同じ話では情報になりませんし、
45分前の中継と天候がまったく変わっていなくても、
違う情報を伝えなければなりません。


(家の中で朝7時台のテレビを見ている人は、
これから出かけるなら、洗濯物を干すのなら、
屋外の中継先からどんな情報を伝えて欲しいと
思っているのだろうか)

バスに乗っていても、食事をしていても、
天気の表現のことばかり考え続けていたあの頃。

それは、笑ってとか、テンション上げて、
というような”陽の状態”を求められる苦しさとは違って、

天候や季節を自分の言葉で届けるために、
どうすればいいのかを追い求め続ける”産みの苦しさ”
であって、なんともやりがいのある、素晴らしい苦しさでした。

その経験は、その後の伝える仕事をする上で、
とっても大事な土台となっています。

















知ってる人は知っている、プロ野球入込み情報のドラ坊と。
















書類の束は、自分でデータと原稿をまとめていたファイルです。懐かしい…。





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