6. 恐る恐る踏み入った世界は…



【 西村綾子 STORY 6. 】



なぜだか繋いでいただいた、
地元のタレント事務所へのご紹介。


(人前でマイク持ってニッコリ話すなんて無理だよ…)

と思っているのに、
紹介してくれた方に断りに行くことを考えると、
どう伝えればいいのかわからなくて悩んだ挙句、
(面接に行って先方が落としてくれればいいんだ…)
と出掛けて行った私。



果たして、事務所でレッスンをすることになって帰ってきたのでした。



「テレビとか、ラジオとか、
やってみたいことはありますか?」

面接でそう聞かれて、
まったくわかりません…と答えた私に、

「ま、最初からはわかりませんよ。
やりながらできるようになっていきますから」

と、言われて「そ、そうなんですか」と返事をした…。




今振り返ってみても、なぜこの時、自分にとって
あまりに高いハードルであることに一歩を踏み出して
しまったのか、正直わかりません。



けれど兎にも角にも、
私は会社員として仕事を続けながら、
夜は事務所のレッスンに通ううちに、
事務所に所属する話が持ち上がり、

なぜかそのタイミングで
職場での人間関係がこじれ出したこともあって、
会社を辞めて事務所に所属することになりました。

(ロレックスで何も起きていなかったら
多分辞めていなかったと思います)


事務所に入ったとはいえ何もできないど新人。
毎日事務所の掃除や電話番などをしながら、
少しずつ仕事をしていくようになるのですけれど、

その頃私は社長から

「愛想よくしなさい」「笑いなさい」「感じよく」

と、しょっちゅう言われていました。



その度に、

(なんでこんなに向いていない私を所属させたんだろう)

と落ち込むのです。



私はここにいて いいのだろうか…。


















この写真は、多分事務所に入って最初に撮った
プロフィール写真だと思われます。
スタジオで写真を撮るのも初めてで、
100枚撮って使えるのが数枚程度…つまり素人でした。





【 7 】へ続きます