17. 自分ごととして受け取っていただくための伝え方
【 西村綾子 STORY 17. 】
もうひとつ、事例をお話しさせてください。
『子宮内膜症』を取り上げた時のことです。
子宮の病気の話なので当事者は女性です。
けれど私は、女性だけに関係ありますよ、
という伝え方はしたくなかったのですね。
テレビを観ている男性にも、
「あなたの妻や母親、娘や大事な人の体の中で、
こういうことが起きる可能性があることを
是非知っておいていただきたいんです」
という気持ちを込めて、プレゼンをしたいと考えました。
そのためには例えば、
「子宮内膜」って言えば女性はわかるよね?
ではなくて、
「排卵のある女性の子宮では、毎月、
妊娠に備えて子宮の内側にある内膜がベッドのように
厚みを増していき、妊娠が起こらないと
そのベッドが剥がれ落ちるを繰り返します。
これが生理ですね」
というように、男性や、
これから生理を迎える若い女性が聞いてもわかるように説明しながら、
できるだけシンプルにプレゼンを組み立てました。
本番が終わってから、番組の総合演出の方に、
「僕は男だけれど、
女性の体の中でこういうことが起きているんだなって
とってもよくわかりました」
と、仰っていただいて、
男性にも伝わったことが とても嬉しかったです。
こんなふうに私は、
「世界初の移植だって、へ〜」じゃなくて、
「医療はすごいところまで進んでるんだな」と
具体的に感じられる内容の方が興味を持つよなぁ、
とか、
「女性の病気でしょ」と思って観ていたら、
「うちの奥さん、大丈夫かな」と、
自分ごととして観ちゃってたよ、というプレゼンなら、
この番組を観ててよかったと思うよなぁ、
というように、
私が視聴者だったら?を基準にして伝える
ことを続けてきました。
その結果、
「よくわかりました」「伝わりました」と
受け取っていただいた経験が積み重なるたびに、
伝える仕事が好きになっていきました。
ハーフアップで上半分を引っ張り続けたことで髪に負担がかかり、
ダウンスタイルになった頃。
くせ毛で毛量が多く、見苦しい状態で放送にのったことも数知れず…
(写真はその中でもまだ落ち着いているものの中から^^;)
【 18 】へ続きます